眞子さまのご結婚が宮内庁から正式に発表され、さらに報道は加熱しているようです。
その少し前には、日本のメディアでは、久しぶりにNYの街に姿を現した小室圭さんの髪型のことを大きく報道していました。
小室さんの職場からもそんなに遠くないマンハッタンのど真ん中にあるブライアントパーク。平日の日中は近所のオフィスで働く人たちのランチの場所、平日の夕方や休日はニューヨーカーの憩いの場となっています。
人生の節目とも言える海外のロースクールの卒業式も欠席し、長い間表に出ていなかった小室さんの外見のイメージは、NYへ渡った数年前の様子で止まった状態が脳裏に焼き付いている人も多いのかもしれません。
そのため、突然長髪で現れたことに大きな驚きの声が上がりましたが、それは、NYで短髪からウィッグ、ピンクの髪からドレッドヘアと様々な髪型に見慣れている私も同様です。
私の大好きなNOMADにあるギャラリーのイベント。写真に写っているのはオーナーのゲイカップルの一人。個性的な髪型が特徴的ですが、ニューヨークに長く住んでいると、こうした髪型を見ても何も感じないぐらい、ニューヨークには様々な髪型の人で溢れています。
彼女は、今回、ギャラリーに作品を提供したNY在住のアーティスト。オーナーがゲイカップルであることからLGBTにオープンな場で、この写真に映る彼女のフィアンセの女性が一生懸命動画を撮影していた姿が印象的でした。
今回の長髪については、様々な人が独自のコメントを寄せていますが、NYで見た目がどういう意味を持つのか、という視点からの記事はどこにも見かけませんでしたので、今日はそのような切り口で今回の出来事について考えてみたいと思います。
あるNY在住のジャーナリストの方は、自由で多様な文化が認められるニューヨークで長髪についてコメントするのはおかしい、といった趣旨のコメントを日本のメディアへ寄せていました。
私は法曹界の人ではありませんが、法曹界のようなお堅めの業界とそんなに遠くはない世界にNYで10年近く身を置き、日本人が全くいない部署で働いたり、日本人が私しかいないチームで働いたことも多くありますが、そうした経験を踏まえると、今回の長髪には正直なところ、驚き以外ありませんでした。
NYで、他人の見た目について公の場所で、または職場で同僚と話題にすることは完全にタブーです。
世界の縮図とも言えるニューヨークでは、一人一人が個性的。
同じ日にコートを着ている人がいる一方で、ビーチサンダルの人がいることも日常茶飯事。髪の色や目の色、話す言語や信じる宗教など何もかもが違う人だらけの世界では、何が「正しい」とか何が「普通」と言ったことはありません。
皆、自分の価値尺度に従って生きているのです。
そのため、自分の尺度から見て他人の外見についてあれこれをコメントすることは完全にタブーですし、外見を理由に昇進で不利な扱いをしてもいけないことになっています。
その一方で、アメリカで有名な会社を見渡してみると、上の地位へ行けば行くほど、見た目がきちんとした人、体型も中肉中背で健康的な人ばかりです。
その理由として、以下の二つが考えられると思います。
・自己管理能力がしっかりしている:
以前、「<検証>アメリカで太った人は昇進できないという神話」という記事の中で詳細を述べましたが、太っているからという理由で昇進を妨げられているのではなく、自分の健康管理がきちんとできていないような人は仕事上での管理や自己統制もきちんとできていないことが多く、そうした自己管理能力の低さから、高いレベルのポジションへと上がっていけないのです。
・TPOをわきまえている:
アメリカではTPOは日本以上に重要です。アメリカ=自由、というイメージがあるかもしれませんが、仕事のようにプロフェッショナルな場では、仕事ができる人ほどTPOをよくわきまえていて「真のプロ」として活躍しています。
こちらのブログでも何度か触れましたが、アメリカ人がオンとオフをはっきり分けて、仕事上の付き合いの人とプライベートで深い付き合いをしないのも、オン(職場)で見せている自分とは違う姿をプライベートでは見せたくないからです(参考過去記事:「アメリカ人があまり社内恋愛をしない理由」)。
そして、仕事ができる人は、その場に見合った服装をしています。
日本の職場では、快適さを追求してスリッパやサンダル、外ではハイヒールが一般的なのに対して、NYの街は真逆です。女性は街を平たい靴で歩き、会社へ一歩入るとハイヒールへと履き替えるのです。会社ではプロとして自分を見てほしいからです(参考過去記事:「アメリカ人の驚くべき七変化」)
上記の点を踏まえて、小室さんの長髪を考えると、どうなるでしょうか。
日本へ出発する前のPCR検査はあくまでプライベートな時間と言えますが、眞子様の婚約者という立場で見られているということを考えると、眞子様の婚約者に相応しい身だしなみが必要なのではないかと思います。
また、あの髪型で会社の方と会食したり、職場へ行っているようですが、法曹界のように特にプロフェッショナルとしての姿勢が要求される職場で、まだ正式な弁護士ではないとしても、弁護士の卵としてもっとふさわしい髪型はあるのではないかと思えてなりません。
私自身、今まで様々な業種のアメリカ人と仕事で接する機会がありましたが、いわゆるオフィスワーカーの人は皆、短髪でこぎれいな身だしなみをしています。
逆に、PCR検査や日本行きの機内は、プライベートな場なので、わざわざスーツのように堅苦しい格好ではなく、こぎれいな私服でも良いのではないかと感じました。
色々矛盾だらけのことにただただ驚いていますが、NY在住の一人のブロガーとして、今回感じたことをここに残しておきたいと思い、筆を取りました。