先日、ニューヨークでは社会人になってもルームメイトと暮らすことがごくごく普通に行われていることをご紹介しました(こちらからどうぞ)。
物価が高いニューヨークで、大学卒業後、たとえそれなりの仕事に就けたとしても、学生ローンを抱えていたり、かなり抑えられた新卒のお給料だったり、と色々な事情で、ルームメイトとの暮らしを選ぶ人は多いです。
逆に、新卒でマンハッタンで一人暮らし、と聞いたら、その人は、両親から家賃補助を受けているであろうおぼっちゃまかお嬢様であることは間違いないと言っても過言ではありません。
他人と暮らすと、一人では考えられなかったような事件が起こるのが常。今日は、そんなニューヨークらしいルームメイトにまつわる事件の数々をご紹介したいと思います。
掃除の頻度で対立
ルームメイトとの暮らしでは、キッチンやバス、トイレはシェアとなります。そのため、トイレットペーパーや掃除用具はルームメイト皆で折半しますし、掃除も担当制にして決めているケースがほとんどです。でも、ここで問題となるのが、その担当を守らなかったり、また、綺麗さの価値観が異なるので、綺麗好き(ときには潔癖症)の人が他の人の掃除にいちゃもんをつけたり、逆に言われた方はストレスを抱える、ということが起こります。
ある男性は、男性だらけのルームシェアで、掃除が面倒くさいから、人に頼んで定期的に掃除してもらっていると言っていましたが、それは正しい選択かもしれません。(ニューヨークでは、不法移民や低所得者の人たちが、掃除などの仕事に従事していて、お金持ちでなくても、安価で受けられるこうしたサービスを利用している人たちがいます。)
自分が知らないときにパーティー?!
赤の他人と住むことが一般的なニューヨークでのルームシェアですが、相手がどんな人かはちゃんと確認した方が良いことは言うまでもありません。なぜなら、その人がどんな人かはその人の交友関係=その人の家を訪れる友人たちにも大きく影響しているからです。以前、NYの日本領事館に勤める人から、自分がいない間にルームメイトが開いたパーティーで部屋を訪れたルームメイトの友人にお金やパスポートを盗まれた、という被害届があったと聞きました。ルームシェアと言っても、個別の部屋に鍵がついていることはまずありません。通常、ルームシェアは、家族でも住めるような2、3室あるような部屋に他人と住むというスタイルなので、各部屋が鍵をかけられるつくりになっていないのです。ルームメイトの人となりを最初に判断することも、ルームシェアでおかしなトラブルに巻き込まれないための重要なポイントです。
ルームメイトの彼氏(彼女)が入り浸り!
これは、つい最近、私の同僚がこぼしていた愚痴です。その同僚は、赤の他人とのルームシェアが成功したラッキーなケースで、ルームメイトとなった2人の女性たちと意気投合し、最近、3人で引越しもしました。ただ、そのうちの1人のルームメイトの彼氏の滞在頻度が多いことを不満に感じているそう。というのも、ルームシェアでは、光熱費は折半するので、そのルームメイトの彼氏が使った光熱費の一部は、残りのルームメイトも負担しなければいけないのです。また、朝、誰もがトイレやシャワーを使いたいときに(アメリカではトイレとシャワーは分かれていません)、そのルームメイトの彼氏が占領している時があるのも不満の種のようです。私の同僚は、家賃を払うために頑張って生活を切り詰めて暮らしているのに、家賃も払っていないルームメイトの彼氏が、必要なときにトイレやシャワールームにいることが許せない、というのです。さらに、最近は、ルームメイトがいない時(仕事で帰りが遅い時など)でも、彼氏だけが先に家に滞在していることもあると言って、それはやりすぎだと怒っていました。
それを聞いた、その同僚よりもはるかに年上のアメリカ人女性のアドバイスはとても的を得ていて、なるほど!と思いながら聞いていたのですが、彼女のアドバイスは、
・自分にもいつ彼氏ができてその人が部屋に遊びに来る状況になるか分からないから、鬱陶しいかもしれないけど、ルームメイトの彼氏が家に来ることには寛容になるべき。
・ただ、朝の忙しい時間などには、トイレやシャワーは、もともとその家に住んでいる人が優先されるべきだから、ルームメイトの彼氏にはその旨きちんと伝えて線引きをすべき。
・ルームメイトが家に戻っていないのに、その彼氏だけが家にいるのは、非常識。ルームメイトが戻って来るまで、近くのカフェで時間を潰すなどして、一人で家に入り込まないようにすべき。
というものでした。
こうした事件簿は、ドラマのようですが、ニューヨークでは、ごくごく普通にあるような出来事でもあったりします。
私は渡米最初のある事件をきっかけとして(2009年秋のブログをご覧ください)、絶対にルームメイトとの暮らしはしないと決めたので、渡米後何年間も、家賃を払うために働いていると言っても過言ではありませんでしたが、その選択のおかげで、ルームメイトにまつわる面倒な話には巻き込まれずに平穏を保てたと思っています。
駐在員のように会社から補助が出て高級アパートに住めるのではない限り、海外での良い住環境を確保するのには、相当な努力が必要です。でも、住環境が良くないと、本当にやりたいことを余裕を持って行う心持ちにもなれないので、良い住環境を一刻も早く確保することは、ニューヨークで平穏に暮らす鍵の一つでもあると思います。