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NY在住者の視点で考える小室さんのビザ事情

年々気候が変化しているニューヨーク。降雪量はどんどん少なくなる一方で、こんなに春が始まらなかった年は、私の渡米以来初めてのことかもしれません。振り返れば、数年前まで働いていた会社では4月は一番の繁忙期。毎日アイスコーヒー片手に出社していました。

今年はいっこうに気温が安定せず、ようやくここ数日過ごしやすい陽気となってきましたが、いまだ朝晩の外出時にはストッキングが必須です。

街ではブロックフェア(道の数ブロックを歩行者天国にして屋台などが出るイベント)が復活しています。メキシコ人手作りのスイカジュースを買ってみました。

日本は大型連休ですね。そんな中、昨年秋に結婚して渡米された小室さんと眞子さんのニュースを最近よく目にするようになりました。

今回は、日本で報道が加熱している小室さんのビザ事情について、考えてみたいと思います。

アメリカ生活を送る上で、健康であることの次に重要、と言っても過言ではないのが「ビザ」。
運よくアメリカ人と結婚して渡米したりグリーンカードの抽選に当たって渡米した、という方を除いて、私自身を含め、ビザで苦労したことない人はいないというほどに、アメリカで就労できるビザを維持しながら仕事を続けることは簡単なことではありません。

日米関係は良好であるため、90日以内の滞在であれば、ビザ無くして旅行をすることができます。
ただし、お金が発生してくると話は別。アメリカは不法就労者を何より嫌うのです。なぜなら、こうした人たちは必要な税金を払わずにアメリカで収入を得るからです。

そのため、収入をもらってアメリカに滞在するためには、就労を可能とするビザを取得しなければいけません。

日本のメディアでは、小室さんたちの今後については不透明、と報道されていますが、ビザのことを考えると、現時点で既に今後についての結論は出ているのではないかと思います。

小室さんは、ロースクールを卒業した後の就労トレーニングビザ(OPTと呼ばれるもの)によって米国に滞在しています。OPTの有効期限は1年間。通常は、その間に就労トレーニングを提供している雇用主がその人の能力等を勘案して就労ビザ(H1B visa)のスポンサーになるか否かを決定します。そして、一年に一度、春に就労ビザの応募が始まった時に、就労ビザへの応募を行うのです。

ここで重要なことは、就労ビザには雇用主がスポンサーになることが必要である、という点です。
911以前はビザのルールも緩く、自分で作った会社がスポンサーになって自分自身にビザを発給することが可能であったようですが、現在はそうした抜け道はありません。通常の会社員であれば、正規のルートで就労ビザを応募するしかないのです。

私が渡米して直面した大きな壁は、多くの米国企業が就労ビザのスポンサーになろうとしていないことでした。
就労ビザのスポンサーになるか否かはあくまで会社の判断。会社として、ビザのスポンサーには一切なりません(=アメリカ国民、もしくはグリーンカード保有者など、既に働ける状態である人しか雇わない)という企業は多いです。
それは、ビザのスポンサーになるのには弁護士費用やビザの申請費用などお金もかかる上、わざわざスポンサーにならなくても必要な人材は市場で見つかるからです。

この状況を小室さんに照らして考えてみると、今働いている法律事務所が小室さんのH1Bビザのスポンサーとして3月にH1Bビザの申請をしていない以上、小室さんはOPTが切れるこの春の終わりか夏以降米国で就労することはできません。

なお、H1Bビザは年間発行枠が決められていますが、最近はインドからのエンジニアの大量流入などで毎年発行枠を大幅に上回る応募があり、抽選の上審査、となっています。もし小室さんが勤務する法律事務所がH1Bビザのスポンサーとなってくれている場合、小室さんは抽選結果を待っている状況です。アメリカはより優秀な人に国に残ってほしいと考えているため、抽選は大学院卒業(ロースクールを含む)の場合は特別枠があるため、大学卒業よりも当選確率は高くなります。

通常、H1Bビザは、アメリカ人やグリーンカード保持者の中からは適任者が見つからない可能性があり、その人をビザのスポンサーをしてでも雇いたい、という場合に会社がスポンサーとなってくれます。例えば、日本語能力を必要とする仕事(日米の案件を扱う法律事務所や会計事務所、日本語教師など)、が分かりやすい例かもしれません。
小室さんが勤める法律事務所は、小室さんの仕事ぶりを見て、どのような判断を下したのでしょうか。
前述したようにアメリカ人と結婚したりグリーンカードに当たったり、というラッキーなことがない限りは、ビザは実力で勝ち取っていかなければいけません。

なお、METでインターンシップを始めた眞子さんがOビザ(アーティストビザ)を取得、という報道も見ましたが、Oビザの配偶者は就労資格がないため、もしこのような展開となった場合、眞子さんが一家の大黒柱、小室さんが主夫になる、ということになるため、現実的ではなさそうです。

日本で日本人として暮らしている限り絶対に分からない移民としての気持ち。
アメリカで暮らす上での一番の登竜門がビザなのです。

先月半ばはイースターのお祝いで街でもイースターグッズをたくさん見かけました。

時期を同じくしてユダヤ教徒のパスオーバーというお祝いも。高級住宅街で知られるアッパーイーストに構えるユダヤ教徒経営のEli ZABARというスーパーマーケット(こちらの写真はグランドセントラルのマーケット内のものです)では。パスオーバーの時の食べ物が売られていました。


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