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屋外飲食のみで奮闘するNYのレストランの裏事情

アメリカに住み始めてから、アメリカがいかに「合衆国」であるかということを実感します。州の自治権が強く、州ごとに全く違う国、と言っても過言ではありません。前回の記事でも触れましたが、コロナへの対応しかり。

ニューヨークでは、5月に入ってから、経済再開への道しるべとして4つのステップを設け、一定の指標を満たした場合、2週間後に次のステップへ移行できるようにしています。
そして、感染者がもともと少なく、最初のステップをクリアした北部の地域から徐々に経済再開が始まりました。

マンハッタンへ向かう電車も少しずつ乗客が増えてきています。social distancingのもと、知らない人との間は1人分開けるのが今のニューヨークの暗黙のルール。24時間営業が売りだった地下鉄ですが、コロナが始まってすぐ、夜の地下鉄がホームレスの住処になっていることが大問題となり、現在は1-5寺の間は運休して、職員が除菌に励んでいます。そのおかげでかつて見たことないほど綺麗になっているニューヨークの地下鉄。写真右に席を占拠して寝ている変な人がいますが、こういう風紀を乱す人は本当にいなくなってほしいと思います。

人口の多いニューヨーク市では、他の地域に遅れて最初のステップが始まり、第2フェーズで屋外飲食が可能となり(それまではテイクアウトとデリバリーのみ)、第3フェーズではついに店内飲食が可能となるはずでした。

しかし、他州での感染者がここにきて増加し、現在、NY州では、感染者が多い特定の州からやって来る人に2週間の隔離を義務付けています。さらには、それらの州から来る人はNYでの滞在先も報告することが最近新たなに義務付けられました。

このような状況で、第3フェーズは始まったものの、店内飲食は、直前で無期限での延期に。

目が飛び出るような額の家賃を払っているNYのレストランの経営者は、店内飲食を待ちわびていたことでしょう。人件費も決して安くありません。テイクアウトとデリバリーだけでは採算が合わないとして意図的にしばらく休業しているお店もありました。

このストリートアーティストの絵、たまに見かけて気に入ってますが、こちらはコロナの中での新バージョンのようです。

屋外飲食にテイクアウト、デリバリーのみで生き残らなければいけないレストランは皆必死です。しかし、有事への対応が早いのがアメリカ。屋外飲食は、お店の前の歩道の一部に席を設けることが認められた他、申請すると車道の一部にも席を作ることが許可され、今ニューヨークはかつて見たことがない光景が広がっています。

パラソルも立っている屋外席はまるで海辺のよう。

車道に設けられた席は、お客さんの安全のために木で囲いが作られています。車道への席が許可されたとたんに、あらゆるレストランで車道席を見かけるようになりました。わずか1、2日で街の光景が変わったのです。こういう火事場の馬鹿力はアメリカ人に見習うべき姿勢だと思います。細かいことを考えずに、まずは急いでやってしまう、という勢いの良さと集中力。

シェフの友人が、あるレストランの屋外席作りを1日かけて行ったそうですが、炎天下の中でそれは大変だったそうです。

なるべくお金をかけずに作るために予算ギリギリで材料の木を調達。ニューヨーク中のレストランが同じことをやろうとしていたので、皆が使いそうな工具などは値段が上がっていたそうです。この話を聞いてから、レストランの前を通るときにそのことが頭をよぎるようになり、外の席を観察したりしています。

最近なぜか夕立の多いニューヨーク。外の席の難しさは、あまりお金をかけられないけれど、雨などの対策も必要だし、いつ店内飲食が再開できるか分からないので、あまり適当にも作れないということです。

ウエストビレッジのように、古くからの住民の力が強い場所では、歩道や車道を規定以上にはみ出ていないかをお局さん的住人が目を光らせ、違反しているレストランの写真を撮り、通報したりしているそうです。あまりにひどい違反が続くと営業停止処分となってしまうので、レストランにとっては死活問題です。

こうした小さなお店は屋外席もたった数席。

こちらは車道に張り出した席。

日焼けが好き、さらに、夏は屋外での食事を好む国民性から、屋外の席はそれなりに人気がありますが、席数は限られているため、どのレストランも経営は相当厳しいと思います。

コロナにより閉店してしまったレストランは後を絶ちません。コロナの収束を願うばかりです。


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