最近のNYは、初秋を通り越して、一気に秋の深まりを感じるような気候です。急いで夏物をしまい、少しずつ秋物を出し始めていますが、なかなか追いつきません。
マンハッタンには、日本文化好きのアメリカ人、そしてお金があるので、趣味が高じてかなり大掛かりなことを出来てしまう人もいるのですが、マンハッタンのど真ん中にあるペントハウスを改装してお茶室を作ってしまったグロービスさんもその一人です。
一歩足を踏み入れれば、そこは完全に日本の世界。このお茶室では、よく様々な催し物が開催されていますが、先日、ありがたいご縁で、奈良の芸者さんを招いて開かれた会に参加しました。
奈良の花街で活躍する菊乃さんは、花街の衰退を危惧し、インターネットを活用して他の地域の花街の芸者さんとのネットワークを広げ、日本が誇る芸者文化を広めるべく精力的に活動されています。
その菊乃さんの友人として招かれていたのは、浅草の芸者、乃り江さん。
アメリカ人を前に、堂々と通訳をこなし、そして歓談の場では、芸者の世界の裏話をたくさん聞かせてくれた、とても気さくな芸者さんでした。
お昼からお店の開店までは、人間国宝をとっているような先生方から歌や踊りを習い、夜はお客さんをもてなし、家へ帰ってゆっくりするのは、毎日1時、2時のこと。芸者さんは結婚しても大丈夫だけれど、こんな多忙な生活では、家庭をもつ暇もありません、と言い切る乃り江さんは、父方が芸者一家だったのに、大学卒業まで芸者世界のことを全く知らなかったことに気づき、卒業後、この道に入ったそうです。
そして、今やその道10年以上。若い芸者さんが良い、という先入観のある人もいますが、やはり経験に裏打ちされた実力にはかなわないそうで、様々な年代の芸者さんがチームを組んで提供する宴会が一番盛り上がるそうです。
そして、驚くことに、乃り江さんのお茶屋さんの最高齢芸者さんは、なんと92歳とか。
「芸者は、ミステリアスな面を持っていなくては。」と語る乃り江さん。ある時、とんでもない思い違いをしていた海外のお客さんに、「あなたは何歳のときにこちらに売りに出されたんですか。」と聞かれたときには、吹き出しそうになりながらも、「ええと、、、私が6歳の時のことなんですが。。」と応えたそうです。
今度、ぜひ浅草のお茶屋に遊びに来てくださいねー、と言われ、連絡先を交換してお別れしたのですが、後日インターネットで見てみたら、浅草でとても有名な芸者さんだったことを知って驚きました。
イギリスのテレビ局が密着取材した乃り江さんの生活は、日本人でも興味深かったです。ぜひこちらからどうぞ。