日本では、今月14日に控えた衆議院議員選挙で候補者たちの熱い戦いが繰り広げられている頃でしょうか。
海外にいる日本人は、不在者投票という制度を利用して投票を行うことができますが、この制度を利用するには、一定の手続きを踏まなければいけません。
海外にある日本領事館で必要書類を記入すると、戸籍が登録してある市町村へと所在確認が行われ、1週間後ぐらいに「在外選挙人証」という小さなカードが届きます。
この在外選挙人証と身分証明書を持って、不在者投票に出かけます。
海外からの票は、いったんまとめて日本の所轄官庁に送られ、そこから各市町村へと速達で送られるようで、そういった郵送や事務にかかる日数を考慮して、不在者投票は日本での投票よりもだいぶ早く締め切られます。
今回の選挙は12月2日公示で14日投票ですが、不在者投票は3日から7日まで。
平日仕事をしている人は、今週末を逃すと投票はできません。
そのあまりに早い締め切りについては、ゆっくり候補者を考える時間がないという問題点も以前から指摘されていますが、海外での投票期間を延ばすことは難しいようです。というわけで、昨日大雨の中、マンハッタンの日本領事館まで投票に行ってきました。
日本領事館は、NYでいわゆる「日本式の」サービスが受けられる数少ない場所ですが、この選挙の時には、通常の職員に加えて、バイトの人も多く働いているので、至れり尽くせりのサービスでいつも驚いています。
エレベーターに乗るときにも係の人が一緒、そして着いてからも、投票の仕方の説明から始まり、在外選挙人証の確認、投票後の封筒の確認(投票用紙は各市町村に送られるため、1票ずつ小さな封筒に入れて固く封をして提出します。)まで、何人もの職人の方が対応をしてくれます。
今回の投票と前後して、たまたまこのような記事を見つけました。
ゴールドマンサックスのパートナーを辞めた後、漆塗りの老舗日本企業の社長として日本の伝統美術保存に力を注ぐイギリス出身のデービッド・アトキンソンさん。記事はこちらからどうぞ。
そして、もう一人は、ナンシーというアメリカ人女性。留学先の日本で、日本の田舎に魅せられ、農家に嫁いで日本の伝統的な農耕文化の暮らしを楽しんでいますこちらのユーチューブビデオでは、現代日本人が忘れている日本の良さを彼女が伝えてくれています。
4人に1人は高齢者となり、先進国の中でも類まれな高齢化社会に突入した日本。急速に移り変わる時代の流れの中で、高度経済成長を成し遂げた日本人の勤勉さだけでは世界に太刀打ちできない今、伝統的な日本の良さと世界に追いついていく国際感覚のバランスが求められているような気がしています。デービッドさんとナンシーさんは、日本人が忘れている、もしくは欧米に目が向き過ぎた結果葬ってしまった日本が葬り去ってしまった日本の美を再認識することを問いかけてくれています。
私利私欲に走るのではなく、日本を正しい方向へと引っ張っていってくれる政治家たちが14日に多数選ばれますように。