日本では、冬季オリンピックが連日相当な盛り上がりだと思います。
スポンサーとして、オリンピック協会にどこよりも多額のお金を払っているアメリカの大手テレビ局NBCに配慮して、人気競技はアメリカ人が観戦しやすい時間帯に組まれているようですが、不思議なことに、アメリカ人はほとんどオリンピックに関心がありません。
先日の男子シングルのフィギュアスケートですら、NBCのメインのチャンネルでは、アメリカ選手が出場しているアルペンスキーとアメリカチームのホッケーの試合が同時刻に行われていたので、入れ替わりで放映していました。NBCのサブチャンネルでかろうじてフィギュアスケートの生放送をしていましたが、注目はアメリカ選手に向けられ、羽生選手は少し取り上げられただけでした。
オリンピックは、世界中の人が楽しむスポーツの祭典だと日本に居た頃には信じていましたが、アメリカでは、ほとんど情報が入ってこないので、日本人の友人とも、フィギュアの日本人女子代表って誰だろう、なんていう日本では非国民のような会話をしていたりします。
その一方で、アメリカ人が年間で一番盛り上がるのは、先日こちらでも書いたアメリカンフットボールの年間王者を決めるスーパーボールです。スーパーボールは、メディアでも何日も前から大きく報道し、会社でも男性陣は試合数日前からそわそわし、スーパーボール絡みの催しがあったりする盛り上がりようです。アメリカで"football"と言ったら、サッカーではなく、アメフトのことを指します。(サッカーはEuropean football。)スーパーボールは、ただのアメリカ国内の試合ではないかと思ってしまいますし、体当たりの多い激しいアメフトのようなスポーツのどこに魅力があるのかはさっぱり分かりませんが、アメリカ人男性でアメフトが嫌いな人はいないと言っても過言ではないぐらいに、アメフトは国民的スポーツです。
アメリカでは、オリンピック中継の仕方も、日本とは大きく異なります。日本の場合、メインの専属キャスター(通常男女のペア)や各競技の解説者がいたり、現地レポーターがいて、試合前の分析から始まって、試合中、試合後にいたるまで詳細な解説がなされますが、アメリカでは、試合の光景をただそのまま流しているだけです。声のトーンも、割と普通で、通常のニュース番組と大差がありません。日本にいれば、テレビをつけていれば、名場面は何十回と見ることができますが、アメリカの場合、そうしたことも特にないので、ただただ淡白に時が流れていきます。
所変わればこんなに違うものかと驚いてしまいますが、これは、関心が国内のことばかりのアメリカ社会を如実に反映したものなのではないかと思います。この感覚は、いつになっても慣れそうにありません。
(写真) クリスマスツリーが有名なロックフェラーセンターの普段の様子。記事内に登場したNBC局のオフィスもここにあります。