NYから日本を考える

NYの優しさ vs 日本の優しさ

おとといはPresidents' Dayの祝日でした。初代大統領、ジョージ・ワシントンさんの2月22日の誕生日にちなんで、2月第3週の月曜日はPresidents' Dayの祝日となっています。

2月らしくない暖かな陽気。薄手のコートを着てショッピングに出かけました。

向かった先は、こちら。サステイナブルファッションで知られるreformation。コロナ対策で徹底した人数制限をしていたため、少しだけ外で待機。

どんなに混んでいるのかと思ったら、店内はガラガラ。お店によってポリシーは異なり、全く入店制限をしていないお店もある中で、かなり厳しい対策を敷いているreformation。

 

オミクロンの猛威もだいぶ収まり、祝日とあって割と混んでいた地下鉄。
歩行器が必要なおじいさんが下車の際にのんびりしているうちに、地下鉄の扉が閉まりかけ、おじいさんがドアに挟まれそうになってしまいました。すると、おじいさんの隣に座っていた男性、そして、駅のホームで電車を待っていた男性が、スーパーマンのようなスピードでドアに駆け寄ってドアを押さえておじいさんの下車を手助けしてあげた微笑ましい光景に出会いました。

NYの地下鉄に乗ったことがある方は、NYの地下鉄の雑な運行に驚かれたことがあるかもしれません。
まだ人が乗り降りしているのにドアが閉められそうになってしまうことも。

今回の2人の男性たちの瞬時とも言えるスピードある行動には目を見張るものがありました。

ニューヨーカーは冷たい、ドライ、と表現されることがよくありますが、個人的には、見知らぬ人が困っているときに手を差し伸べるかどうか、という点では、ニューヨーカーは日本人よりはるかに優しいと思います。道で誰かが倒れてしまった時に急いで駆け寄ったり、今回のようにお年寄りを助けたり。また、私自身も電車のドアが閉まりそうになった時、周りの人がドアを押さえてくれたことが何度もあります。

ニューヨーカー(アメリカ人全般)は、親しくなるには時間が必要ですが、見知らぬ人に手を差し伸べる文化は深く根付いているように感じます。一方で、日本人は知っている人と知らない人との間での線引きが、アメリカ人よりもはっきりしているかもしれません。

パンデミックの影響で閉店してしまうお店が多い中、SOHOのブロードウェイ沿いにこんな不思議なお店がオープンしていました。プラスチックで作られた靴屋さんです。

 

また、日本人が親切心と思って行っていることが、実は海外の人たちにとってそう思われていないことがある、ということを渡米後に知って驚きました。前職の同僚で、今は友人として交流が続いている中国人女性。高校卒業後に日本へ留学し、語学学校を経て有名大学を卒業し、東京のメガバンクで働いていたことがあります。高校を卒業するまで日本語を全く勉強したことがないとは信じ難いほどの高い日本語力。ほぼネイティブと変わらないレベルで、見た目も日本人のよう。しかし、中国生まれなので、本名は完全に中国人の名前です。

部署で唯一の日本人でない社員であったことから、彼女がどんなに努力して同僚と同じようなパフォーマンスを発揮していても、常に「日本人でない」という目で見られてしまっていたことが居心地が悪かったと話していました。詳しく聞いてみると、頻繁に「大丈夫?」と周囲の人たちに声をかけられていたそうです。彼女は周りから遅れをとっていないのに、自分だけ特別な存在として見られていることに対しての違和感が抜け切らなかった、と話していて、日本人の私が全く感じたことがないその体験に驚きました。

日本に住んだことがある海外の人と話をすると、皆が同じことを口にします。
相手のことを気にかけている親切心からの行動が、逆に、彼らの自尊心を傷つけてしまったり、いつまで経ってもアウトサイダーの人、という気持ちにさせてしまったりしていることは、日本ではあまり知られていないかもしれません。そして、たとえ日本が好きでも日本に長期間住むことを選択しないのです。

一方で人種のるつぼと言われるニューヨーク。3−5年住めばおおむね勝手が分かり、英語がネイティブでなくても、れっきとしたニューヨーカー。英語が思ったように話せなくて困ったことはたくさんありますが、それでも、アウトサイダー扱いされた経験はほとんどありません。

素晴らしいおもてなし文化で知られる日本。日本へ旅行に行ったことがある人たちは、おもてなし度の高さにかなりの衝撃を受けるようです。
たとえば、ホームステイで海外の方を自宅に迎え入れる場合には、ゲストの方が快適に暮らせるように最大限のことをするのが日本流。一方で、海外では、寝る場所を提供するという意味合いの強いビジネスライクなことが多いホームステイ。日本のようなおもてなしは期待できないでしょう。それが日本が世界へ誇る日本人の優しさなのです。

場所が変わると、優しさの内容も変わるのは不思議です。
アメリカと日本でこれだけの違いがあるので、他の国でもきっと違いがあるのかもしれません。

最近、お花屋さんとカフェが融合したお店をちらほらと見かけるようになりました。こんなセンスの良さはニューヨークならでは。(ニューヨーク好きの方はNY在住ユーチューバー、kemioさんの動画を見たことがあるかもしれませんが、ちょっと前の動画にこちらのお店が登場していました)

 


+6

-NYから日本を考える

© 2024 NYに恋して☆