日本はおもてなしの国と言われ、その丁寧なサービスで世界中からの観光客を驚かせていますが、その逆に、日本人は一歩海外へ出ると、カスタマーサービスという言葉が存在しないかのような店員さんのひどい対応に驚くことが多いと思います。
このブログでもたびたびアメリカのカスタマーサービスのひどさを話題にしてきましたが、物心ついた頃からアメリカに住んでいる日本人で、アメリカの暮らしに慣れている人に聞いても、アメリカのカスタマーサービスのレベルの低さには辟易するそうです。
しかし、そんなアメリカでも、割ときちんとしたカスタマーサービスが受けられるところがあります。それは、インターネットでのチャットやメールで問い合わせをしたときの対応です。
テレビのケーブルや携帯電話、クレジットカード等、消費者からの問い合わせが多い会社は、会社のHPにチャットボックスがあってその場でカスタマーサービスの担当者とチャットできたり、クレジットカード会社の場合は、HPを通じて不明な請求金額の問い合わせをすることができます。
こうした時の先方の対応はとても早くて丁寧で、電話するよりも便利なのでたまに利用します。
なぜチャットやメールでの対応が丁寧なのかと考えてみると、最後にその担当者の対応を評価することができるからではないかと思います。質問に適切に答えてくれたか、対応のスピードはどうだったか、問題は解決されたかといった質問に10段階評価で答えるようなアンケートがあり、アンケート結果は担当者本人の評価につながるので、きっと先方も良い対応をしてくれるのではないかと思います。（レストランのチップもそうではないかと思われるかもしれませんが、チップの場合、全額がウエイター・ウエイトレスに入るわけではなく、コックさんやテーブルを拭いてくれる人（ウエイター・ウエイトレスとは別の人）等、多くの人たちと分けられます。また、担当テーブルによる集客の不平等をなくすために、その日のチップは全額いったん集めた後に、関係者に配分するという方法がとられるので、お客さんからのチップは直接担当者サーバーの評価に紐付いているわけではありません。）
破廉恥な行動が続いて投資家達から経営者としてのモラルを問われ、ついにUberの社長は退任に追い込まれ、さらには、運転手たちを大切にしないUberの会社と姿勢にも常々疑問が呈されてきましたが、私はUberのカスタマーサービスにはいつも感激しています。
運転手が私を見つけられずに誤って請求してしまった時や、運転手が道を間違えて余計に請求されてしまった時など、カスタマーサービスにメールをすると、いつも数分後には返事が届き、問題はすぐに解決します。
また、クレジットカード大手のアメリカンエクスプレスも対応は迅速で、適切なタイミングで経過報告をくれるので、何かあった時にも安心です。
顔が見えないインターネット上の世界でのカスタマーサービスは丁寧で、逆に、レストランなど顔が見えるところでのカスタマーサービスは高級レストランを除いていまいち、というのがアメリカの定説でしたが、最近そんな現象に変化をもたらすような大きな変革が起こりつつあります。
それは、インターネットの世界が現実世界への進出。
今月16日、インターネット大手で家賃等のコストを避けるために店舗を持つことを避けてきたアマゾンが、アメリカ最大手のオーガニックスーパー、Whole Foodsを$134億ドル（1兆3400億円）で買収することを発表しました。このニュースはアメリカ中を驚かせ、「この買収は何を意味するのか？」といったことが、あちこちで論じられています。
また、アマゾンは、先日こちらでも紹介しましたが、NYでは初となる本屋さんをオープンしたばかりで、さらには、お客さんがオンラインで買った商品を試着してから買うことができるサービスも発表しました。
ブライアントパーク横にオープンした大型のホールフーズ。ちょっとごはんを買ってお隣のブライアントパークでごはんをしたりもできて便利です。（隣のブロックにはマンハッタン唯一の紀伊國屋書店もあり、日本人にとってありがたいです。）
インターネットの世界で成長してきた会社の現実世界での挑戦。今まで、アメリカでは、実際の小売店舗とインターネットは完全に別のものと見られてきていましたが、業界大手でアメリカ人の生活になくてはならないほど浸透しているアマゾンの思い切った行動により、その構図は崩れつつあります。
アメリカのインターネットの世界と実店舗、そして人々の生活が今後どのように融合し、変化していくのかとても興味深いです。
