NYから世界を考える

衝撃的な中国人の愛国心

この間、自分の正体を明かさず、そしてむしろ事実と違う情報を残して母国へ帰った謎な中国人のことを書きましたが(こちらからどうぞ)、何で彼がそんなことをしたのか、他の中国人との会話をもとに考えてみました。

NYの中国人人口はかなり多く、ガイドブックで知られているマンハッタンのチャイナタウン以外にも、フラッシング、ブルックリンといったマンハッタンへの通勤圏となっている近郊エリアにもチャイナタウンが存在するほどです。

でも、不思議と私の周りには中国人の友達は多くありません。

それは、中国人は自国の人たちでまとまる傾向があること、また、あまりに思考回路が違いすぎて話がかみあわないこと、が大きな理由です。

いたってリベラルで話があう子達(中国人から見たら、リベラルすぎるほどにオープン)はほとんどいません。

私が仲がいい2人の女の子は、

1人は、大学時代をシンガポールで過ごした後、そこで数年働いていて、若い頃に海外へ出たため、閉鎖的な中国社会に疑問を呈しています。もう1人の子は、ずっと北京で過ごし、その後は北京のテレビ局のアナウンサーだったというかなりの美女。しかし、そんな花形職業を自ら去り、いまは大学院受験に向けて猛勉強中。共産党の一党支配で、民意が反映された政治が行われていないことに矛盾を感じ、「中国を変えるために大学院で国際関係論を勉強したいの。自分の代で全部変えるのは無理だとしても、少しでも何か変革を起こして、後世に名が残ったらいいなと熱く語っています。

そんな2人は、海外から客観的に中国の現状を眺めていて、日本や諸外国で言われているような、中国が抱える問題点(一党独裁政治、貧富の差、言論の自由の抑制等々)にも気づいています。

しかし、最近、その子達とは両極端の考えを持つ子に出会いました。

彼女の意見が大多数の中国人の考えだと思うのですが、その考えは、中国人以外の国の人々から見るとかなり衝撃的な内容が多く、クラスでも彼女が発言すると、いつも場が騒然としています。

その考えとは、

・共産党の一党独裁政治は大賛成(中国で昇進するためには、共産党員であることが必須だから)

・中国政府は必要な情報をきちんと開示している(諸外国の人たちが思っているようなセンサーシップは存在しない。)

・政府が情報をコントロールすることは賛成(これについての理由は明確に教えてくれないので不明ですが、中国政府がやることには全て賛成だからだと思われます。)

・共産党は一種の家族のような組織→そこでやりとりされている情報は、プライベートなものだから、他人(ここでの他人とは、私たち諸外国の人々)に言う必要もないし、言いたくもない

・貧富の差は存在しているけれど、貧しい人たちは、豊かな人たちよりも幸せである(沿岸部の豊かな人々は、政府から経済成長をするように日々多くのプレッシャーを受けて暮らしていて大変。お給料はそれなりにもらえても、支出も多い。一方、貧しい人たちは、その世界しか知らないから、貧しいながらも貧しいなりに人生を楽しんでいる。政府からのプレッシャーもないから、彼らのほうがずっと幸せ)

授業中に、グーグルの中国撤退についてディベートしたときにも、彼女は「先生もみんなも分かってないわ」と若干憤っていましたが、その理由については、共産党員の間での秘密事項として明確に述べないので、議論は堂々巡りでした。

そして、中国人は、外の目を気にして、また外の人々には言う必要もない、として、本心を語ることはない、ということに気づきました。

そう考えると、不思議でならなかった、プロフィールを偽っていた謎な中国人の心理もちょっと理解できるような気がします。


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