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NYで有名な刺青師の仕事場へ潜入!

先日、日本を代表する切り絵アーティストの方から連絡がありました。
その方が数年前にNYで個展を開いた時に知り合い、ご縁が続いているのですが、パンデミックでNYへ戻ってくる機会を失ってしまっているため、NYに残していた作品をお預かりしていました。

和紙の上に貼られた繊細な切り絵作品。広いギャラリーでの展示用に作られた作品なので、かなりの大きさです。
昨年引っ越しをした時には、作品が傷付いては大変なので、作品だけ引っ越し日とは別に運んでいました。

もうすぐお引っ越しだし、また移動が大変、と思っていたところ、突然そのアーティストから連絡があり、友人のスタジオへ作品を預けに行ってほしいとのことでした。

アーティストのスタジオをググってみると、なんとNYで最も古いタトゥースタジオの一つであることが分かりました!
http://finelinetattoo.com/

1960年代初頭から1997年まで30年以上もの間、特定の臓器に悪影響があると、ニューヨークでは入れ墨は違法だったそうです。
しかし、その中で、このスタジオのオーナーは、数少ないアンダーグラウンドのスタジオとして、イーストビレッジのロフトで予約のみでひっそりと営業を続け、1997年に入れ墨が合法となった時、路面店へと移行したそうです(残念ながらコロナにより路面店は閉店し、現在はロウアーイーストビレッジのスタジオへ移転)。

ひっそりと違法営業を続けていた時代。Mehaiさんのお父さんであり、現在に続く入れ墨スタジオFineline Tatooの創業者。

 

入れ墨師と聞いて強面の方を想像していたのですが、ビルのベルを鳴らすと、「はじめまして」と日本語で穏やかな男性が迎えてくれました。
仕事場は、一人で住むようなサイズのアパートの1室。入れ墨作品やその題材となりそうな図柄が所狭しと飾られた壁。そして、日本の神棚も。かなりの親日家の方のようで、私の訪問を喜んでくれてくれました。

こちらがMehaiさん。私が訪問するからかいつもそうなのかは謎ですが、日本のTシャツを着ていました。奥には小さな神棚も。写真左が入れ墨用ベットです。入れ墨のデザインは、日本やインドに影響を受けることも多いようで、そうした図柄もインターネットで研究しているというMehaiさん。

Mehaiさんのスタジオ全景。一般人が住む場所をスタジオとしているので、写真右はキッチンです。

こちらが玄関の方に向けて写した1枚。右手奥の扉が玄関です。

 

タトゥーアーティストと話す機会なんてなかなかないので、いろいろ聞いてみたところ、面白いお話が次々と飛び出して、思いがけず、1時間ぐらい滞在させてもらいました。お父さんの元で入れ墨の指導を受け、15歳から入れ墨を始めたというMehaiさん。Tシャツを着ていましたが、両腕はもちろん入れ墨だらけ。

海軍に所属して横須賀にも駐屯していたとうお父さんが日本のアートに影響を受け、NYで入れ墨が違法だった時代に始めた入れ墨スタジオは、マンハッタンの中でも数少ない入れ墨スタジオとして名を馳せたそうです。Mehaiさん自身は、日本人女性と結婚していた時期もあるようで、その時に学んだという日本語は、日本に住んだことがないと思えないほど上手でした。

アメリカでは入れ墨はファッションの一部として広く認識されていて、街を歩いていても入れ墨を入れている人を多く見かけます。以前米系の会社で働いていて会社の社員研修の一環でカリブ海のリゾート地へ行った時、オーストラリア出身の可愛らしい女性の太ももの付け根あたりに小さなマークの入れ墨が彫られていて驚いたこともあります。ニューヨーカーの入れ墨は派手で外からでも普通に見える場所に彫られていることがほとんど。水着を着なければ分からないような場所にこっそりと入れ墨を入れたのはどうしてなのでしょうか。もっと親しければ、どんな意味なのか聞けたのですが、そこまで聞ける仲ではなくて聞けなかったのは未だに心残りです。

マンハッタンの街を歩いていると、おしゃれな入れ墨ショップを見かけることも珍しくありませんが、Mehaiさんによると、入れ墨師になるのはなかなか大変だそうです。正規のルートがないからです。入れ墨学校で学べるのはあくまで基本中の基本。その後実務経験を積む必要がありますが、自分の身体に入れ墨を入れるために入れ墨スタジオに通っていくうちに、担当してくれた入れ墨師と徐々に師弟関係を築き、弟子入りという流れになるようです。そのため、時間もかかりますし、自分の身体も入れ墨だらけとなった結果が入れ墨師への道が開かれる時のようです。

日本で入れ墨と言うとついヤクザを思い浮かべたり、銭湯に行けないと思いがちですが、Mehaiさんによると、それは日本人だけで、全身入れ墨のMehaiさんは入り口に入れ墨禁止と書かれた銭湯にも入れたそうです。そして、更衣室にいると、背中の見事な入れ墨にびっくりした人に勝手に写真を撮られたよ、なんて笑って話していました。

一番驚いたのは、Mehaiさんが穏やかな普通のおじさんだったこと。飲み物いる?と何度も聞いてくれたり、私の矢継ぎ早の質問にも一つ一つ丁寧に答えてくれました。

すっかり仲良くなって、Let's keep in touch、と言ってお別れしました。

スタジオはこのビルの1階奥。あんなにすごいタトゥースタジオがあるとは思えないいわゆる普通の建物です。

こちらがスタジオ近隣。イーストビレッジのはずれの昔ながらのNYが残るエリアです。

 

友人の作品を自宅で預かっていたことから生まれた不思議なご縁。NYならではの出来事で、楽しい1日でした。


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