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経済評論家の上念司さん、NYでパンデミック後初の講演会!

経済評論家として知られる上念司さん。自身のユーチューブチャンネルやオンラインサロンの八重洲・イブニング・ラボの他、以前は虎ノ門ニュースにも出演されていたので、その名を知っている方もいらっしゃるかもしれません。Wikipediaによると、日経新聞に「リフレ(日本が長らく陥っているデフレ不況を脱するために、量的緩和や日銀の国債引受、ゼロ金利政策の継続など、インフレ目標値を設定した上でのさまざまな経済政策を推奨する立場)派の識者」と称されている経済評論家です。

公認会計士の大先輩として、東京の監査法人で働いていた頃からよく著書を読んでいた勝間和代さんが経営される株式会社監査と分析、という会社の共同経営者として、上念さんの名前を知ったのは、今から15年ぐらい前のこと(上念さんは現在は代表取締役)。その当時から、どんな方なのだろう、と気になっていました。そんな上念さんとお会いする機会があるなんて、考えたこともなかったのですが、それはある日突然訪れました。

東京の友人から、私が興味がありそうな講演会があるよ!と上念さんのNYでの講演会のお知らせが届いたのです。友人と上念さんの話をしたことはないと思うので、私が15年も前から上念さんに会ってみたいと思っていたことを友人は知り得ないので、引き寄せともいえる驚くべきこの出来事。こんなご縁は滅多にないと思い、勇んで行ってきました。

前から3列目の席をゲットでき、かなり近くでお話を聞くことができて感激

パンデミック以前は年に一度のペースでNYへ来ていた、という上念さんですが、今回の渡米はパンデミック以来初めてだったそうです。講演会のメインテーマは、アメリカ経済の先行きについて。経済政策は、まず少し試してみて結果を見るということができないことから、過去に同じような状況があった際の対応が参考になるので、歴史の勉強が重要、というお話から始まり、アメリカ経済の行方について、否定的な見解と肯定的見解それぞれについて、統計データを用いながら、詳細な解説がありました。

米国経済のネガティブな見解の根拠は、パンデミックをきっかけにオフィスビルの空室率が高止まりであること、そうした商用不動産の借り換え期限が近づいていて、証券化されたものの多くは地方銀行が保有していること、米国家計の超過貯蓄が23ヶ月減少していることなど。一方で、ポジティブな見解としては、今年の7月の世界決済においてドルの使用量が記録的に増加したことや、リセッションの予想が低下していること。

私は直近14年のニューヨークの状況しか分かりませんが、肌感覚で感じる限りでは、こんなに景気が悪い状況はないのではないかと思っています。マンハッタンの街を歩いていると、一等地でも「テナント募集中」の張り紙を頻繁に見かけます。大家さんが強気だからでしょうか。それとも、リスクを取って店舗を有する事業を行う人が少ないからでしょうか。大通りに面した好立地の物件でも、空室のままという状態が長く続いています。また、地下鉄に乗っているとき、街を歩いているときに、今まで以上にホームレスや変わった人を見かけることも多いのが、パンデミック明けのニューヨークの状況です。

治安の悪化を助長しているのではないかと思うのが、CBDやマリファナのお店。NY市では2021年にマリファナが合法となったため、マンハッタン内のあちこちにマリファナショップがあります。。(CBDはリラクゼーション効果があり気分がハイになるマリファナとは別物のようですが、広義では同じ植物由来?)

しかし、歴史を見る限りだと、1980年から1983年にかけて、ちょうどレーガン政権の頃(レーガン政権は1981年から1989年まで)に、アメリカでは今と同じような状況が起こっていて、インフレの沈静化と金利の低下により、その状況を切り抜けたそうです。そのため、上念さんは、インフレさえ抑制すれば、アメリカ経済は爆上げ!という見方をしているとのお話でした。私は経済や歴史に詳しくないですし、40年前と比べて時代は大きく変化していると思いますので、果たして歴史は本当に同じように繰り返すのかは分からないですが、こうして専門家の見解を聞くことができたのは、貴重な体験となりました。

最後の質問コーナーでは、私が常々気になっている日本経済の先行きについて聞いてみました。デフレが長引く日本ですが、日本の製造業の技術力の高さは世界的にもドイツと二強という状態で、韓国や台湾は地政学的リスクがあるため、やはり最後は日本が強く、この製造業がある限り、日本の経済は大丈夫である、と上念さんは力強くお話されていました。また、その時に共有されていたご自身の体験談が印象的でした。上念さんの祖父は戦前、反物を扱う事業を行っていたそうですが、戦後もデフレが続くと予想して、新たな反物の買い付けを積極的に行わなかったそうです。しかし、時代は高インフレに。高価な反物をデフレ時代にたくさん仕入れていれば、高インフレになった時に事業は好調だったはずですが、その逆を行ってしまったために苦労した祖母の姿を間近で見ていた上念さんは、その二の舞になるまいと、日本のインフレを予想する今、投資等積極的に行っているそうです。

情熱的な上念さんを象徴するかの如く、講演会の日のエンパイアステートビルは情熱的な赤。

大物の講演会をこんなに間近で聞くことができ、最後にはツーショット写真まで撮ってもらい、思い出に残る一夜となりました。そして、驚くべきことに、この講演会には、日銀の元副総裁の若田部さんもいらしていました。たまたま夏休みでNYにいて、上念さんのYouTubeで講演会のことを知っていらしたそうです。

最近、経済書を読む機会がありませんでしたが、これを機に、上念さんの「経済で読み解く地政学」を読んでみようと思います。歴史は繰り返すとよく言われますが、これだけ多様化した時代の中でも、果たしてこの概念は当てはまるのか、自分なりに考えてみたいです。

読書の秋の大切なお供はキンドル。これがあるおかげで、日本の本も読みやすくなりました。


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